アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」)は2021年2月2日、2020年10-12月期(2021会計年度第3四半期または当期)の決算を発表しました。
※アリババグループの2021会計年度は、2020年4月1日から2021年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=16.2円(2021年2月現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
当期は、中国小売事業及びクラウドコンピューティング事業の着実な収益成長により、グループ全体の売上高は前年同期比37%増の2,210.84億元(約3兆5,816億円)に達しました。コアコマース事業の売上高は前年同期比38%増の1,955.41億元(約3兆1,678億円)、中国小売事業の売上高は前年同期比39%増の1,536.79億元(約2兆4,896億円)でした。クラウドコンピューティング事業の売上高は前年比50%増の161.15億元(約2,611億円)となり、初めて調整後EBITAの黒字化を達成しました。ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の売上高は、前年同期比51%増の113.60億元(約1,840億円)となり、営業キャッシュフローはプラスとなりました。
アリババグループ会長兼CEO ダニエル・チャン(張勇)のコメント
「中国は2020年に世界で唯一経済のプラス成長を達成した国となりました。中国経済の回復により、アリババグループは再び堅調な四半期を迎えました。消費を促し、消費者の需要を満たすと同時に、デジタル・トランスフォーメーション・ソリューションの提供によって新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたマーチャントをサポートしました。2020年11月に開催された「天猫ダブルイレブン・ショッピング・フェスティバル」も成功させました。当期において、クラウドコンピューティング事業は、業界リーディングカンパニーとしての市場地位を固め続け、力強い成長を見せました。これは初期段階にある中国クラウドコンピューティング市場の大きなポテンシャルと、我々の長年にわたる技術への投資の成果を反映しています。今後も自信をもってお客様に向けて価値を創造し続け、イノベーションを起こし、社会に貢献していきたいと考えています。」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)マギー・ウー(武衛)のコメント
「当期も安定した成長を維持し、売上高は前年同期比37%増加、調整後EBITDAは前年同期比22%増加しました。また、好調なフリーキャッシュフローにより、さらに戦略的分野への投資が可能となりました。当期、アリババクラウドの調整後EBITAの黒字化とツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の営業キャッシュフローの黒字化が実現したことを非常に嬉しく思います。これら事業の成長は、私たちが更にインキュベーションを推進することにより収益を獲得していくという当社の長期投資戦略を反映しています。」
◎ 2020年10-12月期ハイライト
アリババグループ全体の売上高は前年比37%増の2,210.84億元(約3兆5,816億円)となりました。
中国小売市場における年間アクティブ・コンシューマー数は7.79億人に達し、2020年9月末時点より2,200万人増加しました。
中国小売市場における月間モバイルアクティブ・ユーザー数は9.02億人に達し、2020年9月末時点より2,100万人増加しました。
営業利益は前年比24%増の490.20億元(約7,941億円)となりました。調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年22%増の683.80億元(約1兆1,078億円)、調整後EBITA(非GAAPベース)は前年比21%増の612.53億元(約9,923億円)となりました。
一般株主に帰属する当期純利益は794.27億元(約1兆2,867億円)、当期純利益は779.77億元(約1兆2,632億円)となりました。当期純利益(非GAAPベース)は、前年比27%増の592.07億元(約9,592億円)となりました。
希薄化後ADS(米国預託株式)1株当たり利益は28.85元(約467円)、希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は22.03元(約357円)で、前年比21%増となりました。
希薄化後1株当たり利益は3.61元(約58円)、希薄化後1株当たり利益(非GAAPベース)は2.75元(約45円)で、前年比21%増となりました。
営業活動によるネットキャッシュは1032.08億元(約1兆6,720億円)、フリーキャッシュフロー(非GAAPベース)は962.10億元(約1兆5,586億円)となりました。
上記の非GAAP指標に対するGAAP指標の調整は、当社の決算報告書の末尾に記載しています。
◎ 各事業のハイライト
コアコマース事業では、中国小売市場における月間モバイルアクティブ・ユーザー数は2020年12月、9.02億人に達し、2020年9月時点と比較して2,100万人増加しました。2020年12月31日時点の中国小売市場の年間アクティブ・コンシューマー数は7.79億人に達し、四半期での純増は2,200万人となりました。当グループでは消費者マインドとシェア向上の強化を継続しており、その効果は中国すべての地域において、購入頻度の増加に反映されています。
新興地域への注力を続行し、タオバオ特価版を通じてコストパフォーマンスの高い商品の供給を拡大することで、さらに多くのユーザー獲得に成功しました。2020年12月31日時点のタオバオ特価版の年間アクティブ・コンシューマー数は1億人を超え、さらに2020年12月、その月間アクティブ・ユーザー数も1億人を超えました。
天猫(Tモール)における現物商品の取引によるGMV(未払い注文を除く)は、前年比19%の増加となりました。これは主に日用消費財、室内装飾品と家庭用電化製品の成長によるものです。
タオバオにおける現物商品の取引によるGMV(未払い注文を除く)は前年比で大幅に増加しました。これは主にアパレル、家具・室内装飾品、家庭用電化製品のカテゴリーが着実に成長したことによるものです。
当期、タオバオアプリのトップページには「訂閲(店舗情報のフィード表示)」及び「逛逛(オススメコンテンツ表示)」機能が導入され、ユーザーとブランド、マーチャント、インフルエンサー(KOL)、ビデオブロガー、コンテンツクリエイター間の相互コミュニケーションをさらに強化しました。タオバオのトップページの「推薦(商品レコメンド)」機能によるページへのアクセスは、前年比90%以上と大幅に増加しました。
また、ライブコマースプラットフォームのタオバオライブは、ブランド、マーチャント、インフルエンサーが消費者と直接やり取りするための重要なマーケティングツールになりました。さらに、共同購入サイト「ジュファサン(聚划算)」、 フードデリバリーサービス「ウーラマ(餓了麼)」、旅行サービス・プラットフォーム「Fliggy(フリギー)」などにより、より多くの消費者を惹きつけて交流することを可能にしました。2020年12月31日時点、タオバオライブを通じた年間流通総額(GMV)は4,000億元(約6兆4,800億円)を超えました。
天猫国際(Tモール・グローバル)は、天猫海外フルフィルメント(TOF)の提供、グループのロジスティクス機能と規模の優位性を活かし、海外ブランドと中国の消費者との結び付けを強化するなど、国境を越えたロジスティクス・ソリューションの革新を続けています。当期、天猫国際のブランドとマーチャントの登録数は前年比で60%増加しました。天猫国際のTOFを通じた商品の購入額は急速に増加し、GMV(未払い注文を除く)は前年比で3桁成長を達成しました。
当期、グループは12回目となる天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバルを開催しました。従来は1日であったイベントを11月1日から11日までの11日間に延長し、マーチャントやブランドが消費者と交流して関係を築き、売上を伸ばせる機会を増やしました。イベントの延長は、物流への負荷を軽減させ、迅速な配送を確保するなど、顧客満足度の向上にも役立ちます。本イベントには25万以上のブランドと500万のマーチャントが参加しました。11日間のイベントにおけるGMV(未払い注文を除く)は4,982億元に達し、2019年の同イベント期間と比べて26%増加しました。470以上のブランドの売上高は1億元を超え、アリババエコシステムの包括的なデジタルトランスフォーメーション(DX)によってもたらされた好循環の効果を実証しました。イベント期間中、約3,000万の新製品が発表され、そのGMV(未払い注文を除く)は前年比で35%増加しました。
ニューリテール事業では、2020年10月にサンアート・リテール株式会社(以下「サンアート・リテール」)の株式を取得し、傘下に収めました。サンアート・リテールをサポートすることにより、オフライン・トラフィックのデジタル化、オンラインとオフラインの在庫の一括管理、サプライチェーンネットワークの拡大、オンラインショッピングの増加を実現しています。そして、当期、主にアリババのデジタル技術によって推進されたオンライン注文がサンアート・リテールの小売売上高に占める割合は24%となりました。
グループが経営する小売チェーン・スーパーのフーマー(盒馬鮮生)については、当期において2桁の既存店売上高の堅調な伸びを達成し、2020年12月31日時点で中国本土で246直営店舗を展開しています。当期、フーマーは上海に初の「X(エックス)メンバーストア」をオープンし、会員メンバーに高品質の製品を魅力的な価格で提供しています。フーマーは今後も、マルチブランド及びマルチモデル戦略により、新しい飲食及び百貨店における業態の拡大を図ります。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)事業の売上高は、前年比51%増の113.60億元(約1,840億円)となり、営業キャッシュフローは黒字となりました。収益の増加は主に、グループ内で急成長している越境及びグローバル小売事業の注文数の増加によるものでした。2020年12月、ツァイニャオ・ネットワークはAliExpress(アリエクスプレス)に200機以上の国際貨物航空チャーター便を調達し、これにより、AliExpressの配送効率が向上したことで、中国から海外への平均配達時間が3.5日短縮されました。ツァイニャオ・ネットワークは、グローバルマーチャントにサービスを提供するために、パートナーらとスマート・ロジスティクスのネットワーク構築への投資を続けていきます。
クラウドコンピューティング事業の売上高は、前年比50%増の161.15億元(約2,611億円)となりました。また、規模の経済性効果の実現により、初めて調整後EBITAの黒字化を実現しました。収益の伸びは主にインターネット、小売業界、公共部門の顧客収益の力強い成長によるものです。「天猫ダブルイレブン・ショッピング・フェスティバル」の期間中、アリババクラウドは、拡張性と信頼性が高く、且つ安全なパブリッククラウド基盤を提供し、ピーク時には1秒あたり58万3,000件の注文を処理しました。アリババクラウドは、さまざまな業界に包括的な技術ソリューションとサービスを提供することにより、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していきます。
越境及びグローバル小売事業の売上高は前年比37%増の101.58億元(約1,646億円)となりました。Lazada(ラザダ)は、東南アジア市場のデジタル化の加速により、買い手と売り手の数が引き続き大幅に増加しています。多くの市場が依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中、Lazadaの注文数は継続して3桁の成長を達成しています。AliExpress(アリエクスプレス)については、ツァイニャオ・ネットワークとグローバル物流基盤の投資及びアップグレードに取り組み、越境流通能力の向上と効率の改善を実現することにより、2020年1-3月期の落ち込みからの事業回復を達成しました。ロシアの合弁事業を除く当期の流通総額(GMV)の成長は新型コロナウイルス感染症流行以前のレベルに戻っています。
越境及びグローバル卸売事業の売上高は前年比53%増の37.62億元(約609億円)となりました。これは主にAlibaba.com(アリババドットコム)からの有料会員数の増加と有料会員からの平均売上高の増加、及び越境ビジネス関連の付加価値サービスの売上高の増加によるものです。
ローカルサービス事業の売上高は前年比10%増の83.48億元(約1,352億円)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、中国では飲食サービス業のデジタル化に対する高いニーズが今も尚あります。ウーラマ(餓了麼)はこの機会を活かし、デジタル・ソリューションやその他の付加価値サービスを提供することにより、高いスキルを有するマーチャントを惹きつけています。2020年12月31日現在、登録マーチャント数は前年比で30%以上増加しました。さらにウーラマは、メンバーシップシステムもアップグレードしました。当期、1日平均の有料会員数は前年比で約30%増加しています。ウーラマは、生鮮食品や日用品などの即時配達サービスを開始するなど、より幅広い商品をカバーするための拡大を続けています。2020年12月31日時点で、ウーラマに登録されているフード・ケータリング以外のマーチャント数(日用消費財や生鮮食品など)は、前年比で80%以上増加しています。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の売上高は前年比1%増の80.79億元(約1,309億円)となりました。当期の映像配信プラットフォーム「ヨウク(Youku)」の1日平均の有料ユーザー数は前年比で約30%増となっています。これは魅力あるオリジナルコンテンツと88VIP会員計画の継続的な貢献によるものです。アリババ・ピクチャーズは引き続き高品質のコンテンツへの投資と配信を実施しており、人気のオリジナルドラマもヨウクの有料ユーザーの増加に貢献しています。アリババグループは、コンテンツ及び制作能力に対する慎重な投資により、デジタルメディア及びエンターテインメント事業の運営効率を継続的に改善しており、デジタルメディア及びエンターテインメント事業における当期の調整後EBITA損失を前年同期比で減少させることに成功しています。
アリババグループとは
アリババグループのミッションは、『あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)』です。アリババグループは未来のビジネスインフラを構築し、102年(3世紀)以上続く良い企業を目指しています。